音楽制作の中心的存在、マニピュレーター・サウンドプログラマーの仕事
コンサートやライブ、レコーディングの裏側で活躍するマニピュレーターというお仕事をご存じでしょうか?
マニピュレーターは、表舞台で活躍するミュージシャンを裏側で支える、とても重要な役割を担っています。
もくじ
マニピュレーターって?
音楽ライブなどで、生演奏のほかに電子音やシンセサイザーなどが鳴っている場合があります。
特にアイドルやダンスグループでは、ステージ上に演奏者がいないことも珍しくありません。
生演奏以外の音をレコーディングやライブなどで扱うことを = マニピュレーションといいます。
そのアーティスト楽曲を構成する上で重要な役割を担当しているのがマニピュレーターです。
レコーディングエンジニアや音響スタッフと違い、楽曲制作の段階から関わることが多くなります。
ボーカルやギター、ドラム楽器などの生演奏では再現できない電子音や効果音は、あらかじめ意図したタイミングで発音できるように生演奏に同期させる必要があり、あらかじめコンピューターやハードディスクレコーダーに仕込んでおきます。
このことをプログラミングと呼び、1曲1曲、場面に応じて細かく作りこみを行ないます。
プロのライブでは1回のライブで20曲〜30曲を演奏することも珍しくなく、その中で曲順や曲構成、曲のテンポも変化することもあります。
生演奏であればすぐに対応が可能な場面でも、マニピュレーターはプログラミングを再度行なう必要があり、演奏している時間より作業している時間がほとんどになります。
その作業は長時間に及ぶこともあり、コンサート前には徹夜で作業……ということも珍しくありません。
ライブステージではバンドメンバーとして演奏する場合もありますが、主な役割は事前にプログラミングした音源の再生や音色の管理です。
もちろん機材の管理やメンテナンスなどトラブル対応もマニピュレーター自身の手によって行なわれているわけです。
一見、マニピュレーターは歌手やミュージシャンとも近く華々しく見える職業ですが、実は裏方的な作業が大半を占めるお仕事なのです。
マニピュレーターのミュージシャン
有名ミュージシャンや音楽プロデューサー、作曲家などがマニピュレーターを兼任していることも少なくありません。
T.M.Revolutionなどのサウンドを担当しているのは、浅倉大介さん
1985年よりヤマハのシンセサイザー・ミュージックコンピュータの部門でシステム開発等に従事する傍ら、ゲームミュージックを制作。
また、TM NETWORKのサポートメンバーとして1987年から1989年までマニピュレーター、1990年から1992年までサポート・キーボーディストを務めた。
2003年から2007年にかけては宇都宮隆、木根尚登、葛城哲哉、阿部薫によるTM NETWORKトリビュートライブに小室哲哉の代役として参加している。
浅倉大介 – Wikipedia
UVERworldのマニピュレーターは誠果(せいか)さん
メンバーからは一番の努力家と言われており、正式加入するまでに自身が担当しているマニピュレーターなど他いくつかの資格取得をしている。
メタルアイドルグループ、BABYMETALのマニピュレーターは宇佐美秀文さん
かたやBABYMETAL。
僕がライブサポートに入ったのは2012年からでした。
彼女たちにとっては初のライブマニピュレーター。
今では生バンド体制が当たり前となっていますが当時はライブの世界観の一部を担う形での数曲のみの参加であったため、僕はDJ的に言えばワンマンバンドを請け負いつつバンドもサポートする状態でした。
hide with spread beaverのメンバーとして活躍されていたI.N.Aさんは元X JAPANのマニピュレーター
現在はONE OK ROCKのプロデュースなども担当されています。
X JAPANの1991年のライヴツアー「Violence In Jealousy Tour 1991〜夢の中にだけ生きて〜」のマニピュレーターとしての参加でミュージシャンデビュー。
X JAPANのレコーディングエンジニアを務めるかたわら、X JAPANギタリストHIDEのソロツアーメンバー「hide with Spread Beaver」の一員として、またhideのアルバムのレコーディングで特に知られる。ライブにはパーカッションとマニピュレーターとして参加。
最近ではボーカロイド(ボカロ)シーンでも活躍
楽曲の作詞・作曲者と、Vocaloidの操作者がことなる場合、後者を「マニピュレーター」と称することがある。
これは、従来ニコニコ動画界隈で「調教」と呼ばれている行為をさすのだが、「調教」という言葉の持つイメージがVocaloidに対して用いるのがあまりよろしくない気がするため、新たに使われ出したと思われる。
参考:ボカロpになりたい。ボーカロイド初心者の俺がボカロPになる方法
マニピュレーターになるために必要な3つのこと
演奏
音楽の知識・技術を身につけるためには、まず楽器の演奏ができることが条件になります。
そして、演奏できるだけではなく、楽器の役割を理解することも重要です。
特にピアノやギターなどのコード楽器は、音楽の3要素(メロディ・ハーモニー・リズム)を理解しやすいので、これから楽器を始める方には特におすすめします。
参考:楽器初心者のための。楽器を始める前に押さえておきたい3つのポイント
作曲
曲のアレンジやフレーズを作成するのも、マニピュレーターとしての役割です。
音楽理論の知識、作曲の技術は備わっていないと、さまざまな場面での活躍は難しいといえます。
機材
マニピュレーターは、シンセサイザーやサンプラー、DJ機器などの電子楽器やコンピューター巧みに扱い、音をコントロールすることが必要です。
楽器と同様に音楽制作で必要な機材を扱い慣れていることが必要です。
音楽データの管理や制作は主にDAWソフトが使用されています。
最後に
マニピュレーターは、決して派手なことばかりではないお仕事ですが、極めればアーティストと同様に音楽で自己表現を実現できる職種といえます。
ミュージシャンと同じように音楽の中で成り立つお仕事なので、単に機材のオペレートだけでは成り立たない裾野の広い職業です。
今後、マニピュレーターを目指す場合は、まずは自分自身で音楽制作ができるようになることが重要になります。
ライタープロフィール
スタジオラグ
中尾きんや
スタジオラグスタッフ
ウェブサイト:https://www.studiorag.com
Twitter:kin_kinya